美白剤として、現時点で効果が高くてシミの治療に使う…
そのメインの成分が「ハイドロキノン」です。
ハイドロキノンはシミ治療にはなくてはならないくらいの主役…レーザーやフォト、塗り薬の治療…何をするときにも一緒に使っていきます。
でも、そのハイドロキノンはとても気難しい手ごわい成分です((+_+))
それなので現在ハイドロキノンを
・安全に
・より高い効果
を発揮させるために、改良研究を行っています。
今回は、その研究内容をお伝えします。
ハイドロキノンは化粧品に配合が難しい
ハイドロキノンが配合されている市販の化粧品は少ないのですが、そこには理由があります。
この成分、実はとても酸化しやすいのです。
一般的な化粧品は、3年間常温で変化しない(つまり安定している)ことが、流通するためには必要です。
酸化させないために
2.酸化防止剤を入れる
3.空気を抜く
4.水分を減らす
などの工夫が必要になります。
ハイドロキノンは、上記4つの条件のうちの一番最初の「酸化しにくい材料」の部分が、そもそも「めちゃめちゃ酸化する材料」なので、それ以外の3つの要素を強化しないといけません。
で、ここにジレンマが……
2の酸化防止剤を入れる
めちゃめちゃ酸化する成分なので、酸化防止剤も通常よりも何倍も、もしかすると何十倍も多くしないといけません。
しかしながら、酸化防止剤は肌荒れの原因になります。
シミやくすみを改善して、きれいになる目的のために使うハイドロキノン。
でもそのハイドロキノンを酸化させないために配合する酸化防止剤でかぶれて肌荒れしてしまう…
それではちょっと納得いきません。
そうなると酸化防止剤を多く入れることも、あまりいい解決方法ではないことになります。
ハイドロキノンの安定配合研究
ハイドロキノン側の進化もあります。
私も、まずは「ハイドロキノン自体の酸化しにくさ」「ナノ化技術」をまずは単純に比較してみました。
配合後、3週間経過したところの写真ですが、①は、配合後すでに2日目から変色しています……
(注意:ハイドロキノンは酸化すると茶色になります。リンゴなどを切って放置すると茶色くなるのと同じです!)
②と③は、2週間後チェックしたときはほんのり色がついているかな? という程度の変色でしたが、更に1週間経過(つまり試作品を作って3週間目)したところでは、茶色く変色しています。
たった3週間、しかも冷蔵庫保管で変色していますので、これでは化粧品に配合することは難しいです。
写真の4つの配合クリーム 注意:実験のため、通常化粧品に配合されるハイドロキノンより高濃度に配合しています
② ごく一般的なハイドロキノンをナノ化加工したもの(酸化防止剤や保存料はほとんど配合されていません)
③ ごく一般的なハイドロキノンをオイルコーティングしてナノ化させたもの(酸化防止剤や保存料はほとんど配合されていません)
④ 最新の進化型ハイドロキノンをナノ化させたもの(酸化防止剤や保存料はほとんど配合されていません)
この④の進化型ハイドロキノンは、ハイドロキノンの加工特許を持っている研究室からサンプルでいただきました♪
とても魅力的な材料ですが、価格が一般的なハイドロキノンの 85倍です。
書き間違いではありません・・・ 本当に
85倍ですよ……
それだけではありません。
ナノ化するための材料などにが通常の基材と比較すると25倍の価格。
材料がそもそも比較にならないほど高価、そして技術もびっくりするくらい高価。
そりゃぁ、販売する製品の価格も高額になります。
それでも、特許取得のハイドロキノンとナノ化を組み合わせるだけで、かぶれる危険性が高い酸化防止剤を入れなくても、ここまで酸化しにくいクリームにすることが可能なことがわかりました。
この次は、
これが一体どのくらいの期間変色しないのか?
現在は、冷蔵保管だけれど常温保管可能なのか?
などなど、さらに20試験以上が必要。
併せて安全に混ぜて、美白効果UP、さらに酸化しにくくするような成分探しも必要です。
ハイドロキノンに代わる美白剤の開発
美白剤としてはハイドロキノンがとても効果が高いのですが、それでも配合した後の安定性が何とも心配です。
そこで、合わせてもう一つ着手しているもの。
それが「ハイドロキノンよりも若干劣ってもよいので高い美白効果があり、安定配合できる成分がないか」という研究です。
根っからのリケジョ(科学実験大好き♪)な私は、ワクワクしながら日々実験中です。