皆様こんにちは。mikoです。
ビタミンCが美肌に良い、ということは先日お伝えしました。
シミを薄くする、コラーゲン生成を助ける、活性酸素から肌を守る——その美容効果はまさに万能クラスです。
ところが、このビタミンCを「化粧品として肌に塗る」となると、途端に難しくなる…
なぜなら、ピュアビタミンC(L-アスコルビン酸)が本来の力を発揮するためには、実は3つの厳しい条件が必要でした。
① pH3.5以下という強い酸性環境
ビタミンCは、低いpH環境でないと角質層に浸透しにくいとされています。
そのため、化粧品としてしっかり働かせようとすると、どうしても酸性側に寄せた処方が必要になりやすく、肌質によっては刺激になりやすいという弱点がありました。
② 10〜20%という高濃度
ビタミンCを肌の中にしっかり届けようとすると、ある程度高い濃度が必要になります。
濃度が高いほど濃度勾配によって浸透しやすくなるため、十分な実感を得ようとすると高濃度処方が求められやすくなります。
③ 安定化と酸化防止の工夫
ビタミンCは非常に不安定な成分です。
空気、光、熱、水分などの影響を受けて酸化しやすく、変色や力価低下を起こしやすいため、製品の中で長期間安定に保つこと自体が大きな課題でした。
この3条件を同時にクリアした処方を作るのは、決して簡単ではありません。
ビタミンCは優れた成分である一方で、「そのまま入れれば働く成分」ではなかったのです。
「そもそも条件を変えてしまえばいい」という発想の転換
そこで研究者たちは、別の方向から考えました。
厳しい条件に合わせて製品を作るのではなく、
a. もっと安定して使えるビタミンCを作れないか
b. pHをそこまで厳しく下げなくても使える形にできないか
c. 肌に届けやすいビタミンCにできないか
この発想から生まれたのが、ビタミンC誘導体です。
ビタミンC誘導体の歴史
国内では1960年代以降、アスコルビン酸の一部を化学的に修飾し、安定性や使いやすさ、皮膚への送達性を高めることを目的としたビタミンC誘導体が次々と開発されてきました。
初期において特に重要だったのは、ビタミンCの水溶液中での不安定さを改善すること、そして皮膚に届けやすくすることでした。1980年代には、こうした改良型ビタミンC誘導体の一部が、医薬部外品の美白有効成分として承認されるようになります。
その後は、安定性だけでなく、浸透性、皮膚内での変換性、使用感、保湿性などにも注目が集まり、現在では目的に応じてさまざまなタイプのビタミンC誘導体が使い分けられています。
グローブをはめた手のイメージで理解する

そもそも、なぜビタミンCはあんなに不安定なのでしょうか?
ビタミンC(アスコルビン酸)の分子には、「水酸基(-OH)」という、化学的にとても反応しやすい部分が複数あります。これをわかりやすく「手」と呼ぶことにしましょう。
この手は、非常に積極的です。空気中の酸素、水分、光のエネルギーなど、出会うものにすぐ反応して結びつこうとします。でも問題は、この手が何かをつかんでしまうと、ビタミンCとしての効果がなくなってしまうことです。変色したビタミンC水溶液を見たことはありませんか?あの黄色〜茶色への変色こそ、手が酸素につかまれてしまったサイン——酸化の証拠です。
では、どうすればいいか?
「手が空いているからつかんでしまうのだから、グローブをはめておけばいい」
これがビタミンC誘導体のアイデアです。手にグローブをはめた状態では、酸素にもなかなか反応できません。だから酸化しにくくなり、製品の中で安定して存在できるようになります。
ただし、グローブをはめたままでは肌の上でも「何もできない手」のままです。だから大事なのは、肌の中に浸透した後で、ちゃんとグローブが外れること。外れて初めて、ビタミンC本来の力シミを薄くする、コラーゲンを作る、活性酸素を消すが発揮されます。
グローブの素材(何の分子を結合させるか)と、3本ある手のどこにはめるかによって、さまざまな種類のビタミンC誘導体が誕生しました。水溶性タイプ、脂溶性タイプ、そして後述する両親媒性タイプなど、それぞれ個性の異なる誘導体が生まれた理由は、ここにあります。
安定しすぎても、それだけでは足りない
ただし、ここで大事なのは、安定であることと、肌の中でしっかり働けることは別問題だということです。
ビタミンC誘導体の多くは、肌に塗ったあと、そのまま働くというより、皮膚内で酵素などの働きによって変換され、最終的にビタミンCとして働くことが期待されています。
そのため、重要なのは
* 安定していること
* 肌に届きやすいこと
* 届いたあとにビタミンCとして利用されやすいこと
このバランスです。
単に安定性だけを高めればよいわけではなく、「安定していて、なおかつ働けること」が大切なのです。
APS(アスコルビルリン酸Na)のような誘導体
その代表例のひとつが、APS(アスコルビルリン酸Na) です。
比較的安定性が高く、皮膚内でビタミンCに変換されることが期待される、水溶性のビタミンC誘導体です。
これは大きな前進でした。
安定でありながら、皮膚の中でビタミンCとして働かせる、という道が開けたからです。
ただし、ここで次の課題が残ります。
それが浸透性です。
APSは水溶性であるため、角質層の脂質バリアに対しては、処方によっては通りにくい面があります。
つまり、「安定で、変換されやすい」だけではまだ不十分で、どれだけ肌に届けられるかという問題が残っていたのです。
発想の逆転——APPSという進化
そこで注目されたのがAPPS(パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na)です。
APPSは、水にも油にもなじみやすい両親媒性を持つビタミンC誘導体です。
この性質によって、従来の水溶性ビタミンC誘導体よりも、肌へのなじみや送達性の面で有利である可能性が示されています。
さらにAPPSは、ただ“なじみやすい”だけでなく、皮膚内でビタミンCとして利用されることも期待されている点が大きな特徴です。
つまりAPPSは、
届けやすさ
安定性
ビタミンCとして働くことへの期待
この3つのバランスを狙って設計された誘導体だといえます。
もちろん、どの誘導体が絶対に一番優れている、と単純に断言できるわけではありません。
実際の働きは、配合濃度、ベース処方、組み合わせる成分、剤型などによっても変わります。
それでもAPPSは、ビタミンC誘導体の中でも非常に魅力的なポテンシャルを持つ成分として、今も高く注目されています。
まとめ
ビタミンC誘導体の進化は、ピュアビタミンCが持つ
「不安定」「刺激になりやすい」「届けにくい」
という弱点をどう乗り越えるか、という長い研究の歴史の中で生まれてきました。
その中でAPPSは、安定性だけでなく、肌へのなじみやすさと、ビタミンCとしての働きの両立を目指した、非常に可能性のある誘導体のひとつです。
私たちFLALUでは、このAPPSが持つポテンシャルに大きな可能性を感じています。
ただAPPSを配合するだけではなく、そのポテンシャルをできる限り引き出せるよう、濃度、ベース処方、組み合わせる成分、使用感まで含めて設計した処方として作り上げたのが、レアセラムです。

ビタミンCは、成分名だけで価値が決まるものではありません。
どの形のビタミンCを選ぶか、そしてその力をきちんと引き出せる処方になっているか。
その両方がそろってはじめて、肌で実感しやすい製品になります。
APPSという優れた素材の力を、処方という形で最大限に活かす。
FLALUのレアセラムは、そんな考え方から生まれた製品です。

